2026/09/18
軌跡は、まだ途中
ジョーカー
ONE PIECEカードゲーム
Display Your Memories

一枚のカードが、今までに歩んできた軌跡を物語ることがある。
あなたにも、そんな瞬間に心当たりはないだろうか。
静かに、しかし雄弁に語る一枚のカード。積み上げてきた練習の日々。相棒とも呼べるカードと共に戦った大会の記憶。そして、努力の先にようやく掴んだ勝利の瞬間。
そこに至るまでの過程や、積み重ねてきた時間の重みを、ありありと呼び覚ましてくれる。それはきっと、当人にしか語れない確かな軌跡だ。
本企画「Display Your Memories」は、様々なTCGのプレイヤーに思い出の5枚を選出してもらい、その思い出を語ってもらう……というものだ。
今回はTCG『ONE PIECEカードゲーム』のプレイヤー、ジョーカー氏にお越しいただいた。
2022年チャンピオンシップ優勝、“初代海賊王”ジョーカー。数々の対戦を積み重ねてきた彼が選んだ5枚のカード。そこに刻まれた軌跡を、ゆっくりと紐解いていこう。
■ カードとの再会
──本日はよろしくお願いします。まず簡単に、お名前と実績をお願いします。
「ワンピースカードゲームをメインで取り組んでいる、ジョーカーと申します。主な実績としては、2022年度のチャンピオンシップ優勝、そして直近では2026年愛知エリア予選で優勝しました。」
ワンピースカードゲームが発売された2022年からいきなり実績を残したジョーカー氏。同年、ワンピカード初の大型公式大会チャンピオンシップにて優勝を飾り、“初代海賊王”となった。
以降も、
・2022年東京第二エリア予選 準優勝
・2023年大阪エリア予選 ベスト4
・2023年愛知3on3大会 準優勝
・2026年愛知エリア予選 優勝
と着実に実績を積み重ねてきたジョーカー。
その一方で、デッキビルダーとしての手腕も光る。15弾《神の島の冒険》環境で主流となっていた【青黄ハンコック】とは一線を画す【ゾンビハンコック】を生み出し、環境を一変させたことも。
競技プレイヤーとデッキビルダー、二つの顔を持つ“初代海賊王”ジョーカー。彼が共に戦ってきた5枚のカード。そこに刻まれた軌跡を、語っていただこう。
──それでは選出していただいた5枚のカードをお返しいたします。
「わあ、すごい懐かしい……。」

──それでは、選んでいただいた5枚のカードをショーケースに収めてみてください。順番はお好きな順番に入れていただいて構いません。
「リーダーカードは真ん中にします。顔となるカードは真ん中にあった方が好きなので。」
──やはり、ジョーカー選手と言えばこの【赤緑ロー】という印象があります。このリーダーは、2022年から使い続けて長いカードですよね。
「そうですね。本当に自分のワンピースカードがここから始まったと言っても過言ではないようなカードです。」
2022年から始まった“初代海賊王”ジョーカーの歩んできた道。 その軌跡を、一緒に辿っていこう。

■ 《トラファルガー・ロー》

──ショーケース中央に収められたリーダー、《トラファルガー・ロー》について思い入れやエピソードがあればぜひ教えてください。
「2022年の東京第二予選で準優勝した時のリーダーです。このとき、大型大会という場所で初めて結果を残せたんですよね。」
2022年当時、流行していた【赤緑ロー】とは違うスタイルの構築を使用していたジョーカー。パワー上昇効果を持つ《ロロノア・ゾロ》をメインプランに据え、場持ちの良いキャラを採用することで長い回戦数を戦うチャンピオンシップにマッチした構築を持ち込んだ。その結果、独自の構築が功を奏し、ジョーカーは見事準優勝の座を掴み取った。
「最近でも日本一決定戦に出る友人に【赤緑ロー】のデッキを作ったりして、ちゃんと世界大会の権利を持って帰ってきたりしてもらったので結構長い付き合いながら色んな思い出があるリーダーになっています。」
2025年度の日本一決定戦では、ダークホースと評された【赤緑ロー】デッキ。第1弾から最前線で活躍を続ける《ユースタス・キッド》を搭載した【要塞型赤緑ロー】を“デッキビルダー”ジョーカーが作り上げた。友人に託した相棒【赤緑ロー】は、その期待に応えるように世界大会への切符を掴み取ってみせた。
プレイヤーとして、そしてデッキビルダーとしても長い付き合いとなった【赤緑ロー】というデッキ。ジョーカー自身初となる大型大会の上位入賞を果たし、ワンピースカード人生の幕開けとなった一枚。
今、ジョーカーの相棒とも言えるリーダーカードがショーケースの中央に、静かに、しかし確かな存在感を放ちながら飾られた。
■ 《ナミ》

──この《ナミ》も【赤緑ロー】デッキで活躍されていたカードだと思いますが、こちらに関しては何かエピソードはありますか?
「そうですね。大阪大会でベスト4になった時に【赤ゾロ】というデッキを使ったんですけど、その時にも4枚採用していたカードです。」
2023年大阪エリア予選、ブースターパックで強化を受けた【赤ゾロ】が環境トップに躍り出る。ジョーカーもその波に乗り、9回戦ある予選を切り抜け準決勝の舞台へ。2年連続で決勝大会への進出を果たした。
──公式の大型大会で2年連続結果を残した際に、共に戦ってくれたカードということですね。
「はい、そうですね。このカードにも結構大会で助けられたかなと思います。」
2年連続で大型大会の上位入賞を支え続けた《ナミ》。
プレイヤーとしての実績を裏で支え続けてきた一枚が、《トラファルガー・ロー》の隣に並べられた。
■ 《トニートニー・チョッパー》

──《ナミ》の隣に収められた《トニートニー・チョッパー》のカード、初期からプレイしているプレイヤーとしては懐かしいカードですね。
「当時のワンピースカードゲームって1コストのブロッカーがすごく強くって。結構お世話になったカードだなと思ってます。」
ブースターパックの発売以前、ワンピースカードゲームがまだスタートデッキしかなかった時代。実はスタートデッキに収録されていた1コストブロッカーは、使い手によって強さが変わるカードだった。
使うタイミングの難しいこのカードを、即答で“強い”と断言したジョーカー。ワンピースカード最初期から、その強さの片鱗を見せていたのかもしれない。
「当時、この《チョッパー》は高額だったので光らせたりはできなかったんですけど、せっかくのお世話になっていたカードなので買ってみました。」
当時は手が届かなかった一枚。
時を経て手にしたその思い入れと一緒に、ショーケースに収められた。
■ 《ロロノア・ゾロ》

──これまでのお話の中に、周りの人が採用していないカードが活躍したというお話でしたが、もしかしたらこの《ロロノア・ゾロ》のカードがそのカードでしょうか?
「はい、その通りです。《ゾロ》は当時同じ名称の速攻という効果をもった《ゾロ》の採用が主流でした。でも自分が採用したこの《ゾロ》はドンがひとつ付いていたらパワーが1000上がるというカードでした。」
2022年、誰もが速攻能力を持つ《ロロノア・ゾロ》を採用していた時代。それを逆行するようにスタートデッキに収録されている《ロロノア・ゾロ》を採用したジョーカー。“デッキビルダー”としての素質が、この頃からすでに開花していたのだろう。
「当時流行っていた【錦えもん】というデッキが、相手のキャラをレストにしてそれを倒しながらゲームを進めていくデッキだったので、自分としてはこっちの《ゾロ》の方が【錦えもん】に対して勝率が出るんじゃないかなと思ってこちらを採用していました。」
流行しているデッキに対するカウンターとしてのカード採用、構築、プランニング。そのすべてが2026年まで受け継がれている。日本一決定戦に持ち込んだ【要塞型赤緑ロー】や、環境に一石を投じた【ゾンビハンコック】など、もはやジョーカーのデッキビルドスキルを疑う人間はいない。
その原点とも言えるこの《ロロノア・ゾロ》が、ショーケースへと収められた。
そして最後の一枚に選ばれたのは……。
■ 《ジュエリー・ボニー》

──それでは最後に、《ジュエリー・ボニー》のカードの思い出やエピソードがあればぜひ教えてください。
「2022年当時の【赤緑ロー】というデッキは、サーチの選択肢がとても少なかったデッキなんですよね。その中で、この《トラファルガー・ロー》の効果で出す緑のサーチキャラがこの《ボニー》しかいなくて、それで重宝したカードになるのかなと。」
【赤緑ロー】のリーダー効果は、ONE PIECEに登場するトラファルガー・ローの技“シャンブルズ”を模して作成されている。場のキャラカードを手札に戻し、色の異なるカードを手札から出すという入れ替え効果だ。
場のサーチキャラを手札に戻し、手札からアタッカーを登場させるというプレイが定石であったこのデッキでは、赤色のアタッカーを出すための緑サーチキャラが必須となる。
【赤緑ロー】と長い期間を共に戦ってきたジョーカーにとって、この《ジュエリー・ボニー》というカードは切っても切れないもの。どれほどの勝利を陰から支えてきたのか、言葉にするまでもないだろう。
派手な活躍を見せるカードではないかもしれない。それでも、この存在なくして【赤緑ロー】というデッキは成立しなかった。目立たぬ場所からずっとデッキを支え続けてきた、いわば縁の下の力持ちだ。
その働きに報いるように、《ジュエリー・ボニー》はジョーカーの選ぶ5枚目のピースとしてショーケースの一角に収められた。

ジョーカーの選んだ5枚のカードには、2022年から現在まで続く、長い軌跡が刻まれている。その中でも一際目を引くのが、華やかな活躍とは縁遠い《ジュエリー・ボニー》だ。
しかしそこに込められた思いは、《トラファルガー・ロー》や《ロロノア・ゾロ》に決して引けを取らない。ジョーカー自身が【赤緑ロー】と共に歩んできた道のりを、ずっと支えてきたカードなのだから。
環境は目まぐるしく移り変わり、次々と新たなカードが登場しては消えていく。それでもなお、ジョーカーは競技プレイヤーとして、そしてデッキビルダーとして、自らの腕を信じ続けてきた。
こうして積み重ねられた実績と挑戦の数々。当然、並大抵の努力では成し得ないものだ。長い年月と、幾度となく重ねてきた試行錯誤が、この結果をもたらしたのだろう。
“初代海賊王”と呼ばれるジョーカーの道のり。
2022年から続く歩みが、今こうして、5枚のカードという確かな軌跡となった。

■ 軌跡を辿ってみて

──今回、カードを選出していただくにあたって、現環境のカードというよりも過去を振り返って発掘してきたカードたちも多かったと思います。これら5枚のカードを選定していく中で、感じたことがあればぜひ教えてください。
「最近でも【赤緑ロー】というデッキは活躍していたんですが、自分で初めて結果を残せた時のカードにフォーカスしたいなと思って、当時の5枚を選ばせていただきました。」
──やはり、この中で一番思い入れのあるカードは……。
「《トラファルガー・ロー》のカードですね。リーダーカードって他のカードゲームではあんまりないと思うんですけど、ワンピカードでは絶対にコレとリーダーカードを決めなくちゃいけなくて。」
ジョーカーが最初に選んだ相棒、トラファルガー・ロー。
これほどまでに長い付き合いになるとは、選んだ本人ですら思ってもみなかったはずだ。しかし、長い時間をかけて向き合うほどに、その絆は深まっていった。
「この【赤緑ロー】というデッキは、自分自身だけでなく友人に託して結果を残すこともできて、本当にお世話になっているデッキなので思い出深いものがありますね。」
自身の上位入賞だけでなく、デッキを託した友人を世界大会の舞台へと導いたのもこのデッキだった。一つの軌跡が、いつしか二人分の軌跡へと重なっていった。
2022年度アジアNo.1プレイヤー、“初代海賊王”ジョーカー。
5枚のカードに刻まれているのは、決して平坦ではなかった軌跡。一つのデッキと向き合い続けた年月、そして幾度となく繰り返した試行錯誤の跡が、そこには確かに残っている。
カードを手に取るたび、あの日の緊張感がふと蘇ることもあるだろう。
ジョーカーが歩んできた道のりに、カードが道標として刻まれた。一枚ずつ辿っていけば、そこには常に、自らと向き合い続けてきたあの頃の姿が映る。
彼の軌跡は、まだ途中に過ぎない。
次にどんな一枚を選び、どんな軌跡を刻んでいくのか。
彼が描くこれからの軌跡に、引き続き注目していきたい。
インタビュアー/ライター:あーる。




