2026/07/31
ファイルの中の思い出を、いつも見える場所へ
サーニーゴ / Daichi Shimada
ポケモンカード
Display Your Memories

カードを飾る。
そこに並ぶのは、カードだけではない。
ともに戦った記憶、仲間と過ごした時間、忘れられない勝利や悔しさ。
一枚のカードには、その人が歩んできた時間や、言葉では語り尽くせない感情が重なっている。
本企画「Display Your Memories」は、大切なカードを、その背景にある物語とともに残していく企画である。
今回は『ポケモンカード』のプレイヤー、サーニーゴ選手にお越しいただいた。
彼のカードに込められた物語をたどっていく。
■ 自己紹介
──まずは自己紹介をお願いします。
こんにちは。サーニーゴです。
TCG は『ポケモンカード』をプレイしています。獲得タイトルは「World Championships 2022」で準優勝、国内大会では「チャンピオンズリーグ(CL)」で 2 回優勝しています。普段は YouTubeで発信活動にも取り組んでいます。
また、e スポーツチーム「VARREL」に所属しています。
ポケモンカードプレイヤーとして e スポーツチームに加入したのは、ぼくが初めてです。ポケモンカードや e スポーツ業界にも新しい流れを作れるよう、色々なことにチャレンジしています。
競技プレイヤーとして世界の舞台で結果を残しながら、YouTube での発信、そして e スポーツチームへの所属と、サーニーゴ選手の活動はポケモンカードの枠を少しずつ広げている。
今回選んでもらったのは、そんな彼の歩みを象徴する 5 枚のカード。競技の実績を支えたカードだけでなく、ハンドルネームの由来になったカード、幼少期の記憶に残るカード、そして現在の活動につながるカードまでが並んだ。
■思い出のカードとの再会

ありがとうございます。このような箱に入って手元にもどってくるんですね...! 既にカッコいい!

おお~...。そうだ。このカードを出したんだった。何を出したか忘れちゃって。
当時ガンガン使っていたカードも入れたので。
...意外と状態良いんだな。もっと点数低いと思っていました。
PSAには今まで出したことなくて。コレクションとしてグレーディング済みカードを 1 枚は持っているんですけど、それはお店で買ったカードなので。自分で出したのは今回が初めてです。
──ではショーケースに収めてください。さぁ、何がセンターに来るのか?
「配置学......。」
どのカードをどこに入れるかめちゃくちゃ悩みますね。
どれも思い出の種類が違うので、センターを決められないです。とりあえず時系列順に並べるしかないかな。

──思い出のカードたちをショーケースに収めてみて、どうですか?

これめっちゃいいですね。いますぐにでもうちに飾りたい。
ショーケースがすごく大きいんですけど、これくらい贅沢にスペース使ってくれていたほうが飾りがいがあっていいと思います。
このカードたちはある意味、大会でもらうトロフィー以上に、トロフィーらしい存在です。
──ではなぜこの5枚を選んだのかを教えてください。
はい。
ショーケースには時系列順に収めました。なので、古い順。
パルキアから紹介しようと思います。
■ 思い出の 1 枚目:パルキア


──では、こちらの『パルキア』からお聞かせください。
このカードは、ぼくがコレクションファイルの中から選んだ 1 枚です。
このカードとの出会いは、 小学生の頃に当たった雑誌の懸賞です。
当時、小学生のぼくの月のお小遣いは 300 円でした。一方で、ポケモンカードは 1 パック 315 円(税込)。1 か月に 1 パックも買えず、手元にあるカードだけでデッキを組んで対戦して遊ぶ日々でした。
そんな頃、雑誌で行われていた懸賞に応募しました。ポケモンカードのパックの裏面にあるバーコードをハガキに貼ってポストへ投函すると、応募できるキャンペーンでした。
もちろん、「当たったらいいな」くらいの気持ちで、そこまで期待していたわけではありません。
そして数カ月後、忘れた頃にこのカードが自宅へ届きました。
1 か月に 1 パックも買えなかったぼくに、懸賞のキラカードが当たったんです。しかもキャンペーン限定のプロモーションカード! 小学生のぼくにとっては、本当に貴重な体験でした。
カードを自由に買えなかった時代だったからこそ、このカードを手にしたときの嬉しさは今でも鮮明に覚えています。
高価なカードだからではない。満足にカードを買えなかった時代に手にした 1 枚だからこそ、今でもコレクションファイルの中で特別な存在であり続けている。
■ 思い出の 2 枚目:サニーゴ


──続いて、『サニーゴ』を選んだ理由を教えてください。
『サニーゴ』のカードは色々種類があるので悩みました。
このカードは、数ある『サニーゴ』のカードの中でも一番好きなデザインです。
なぜ『サニーゴ』を選んだのかというと、このポケモンはぼくのハンドルネームの由来になっているポケモンだからです。
初めて地元の店舗大会に出たときのことです。受付で名前を書こうとすると、「ハンドルネームを書いてください」と言われました。
当時はハンドルネームというものを知らなくて。説明を聞いて、「ポケモンにつけるニックネームみたいなものを自分にもつけるんだ」と理解しました。
少し考えました。
そうしたら何人も後ろで順番待ちをしていました。
急いで書かなきゃ。でも全然思いつかない。
そのとき、ちょうど手に持っていた『サニーゴ』のカードが目に入りました。
名前の欄に、とっさに【サーニーゴ】と書いたんです。
それ以来、その名前をずっと使い続けています。
『サニーゴ』は、ぼくのハンドルネームの由来になったポケモンなので、特別な思い入れがあります。
このカードは同じイラストでもノーマル加工とキラ加工の 2 種類あるのですが、今回は飾ったときに映えそうなキラ加工を選びました。
『サニーゴ』は、サーニーゴ選手のハンドルネームの由来になった 1 枚。ポケモンカード人生の始まりを思い出させてくれる存在だ。
■ 思い出の 3 枚目:ネクロズマ たそがれのたてがみ


──続いて、『ネクロズマ たそがれのたてがみ』について教えてください。
このカードはね。本当に思い出深い 1 枚です。
ショーケースには時系列順に並べたので偶然にもセンターに収まっていますけど、もしセンターを選ぶとしたらこのカードかもしれません。
『ネクロズマ たそがれのたてがみ』は、「チャンピオンズリーグ 2020 東京」で優勝した『ルカリオ&メルメタル GX デッキ』に 2 枚採用していました。この大会でぼくを優勝に導いてくれたカードです。
このカードは、当時ほとんど使われていなくて。
だけどぼくは世間の評価よりずっと強く、めちゃくちゃ可能性があると信じ続けていました。さすがに優勝にまで導いてくれるとは思っていなかったです。だけど、マイナー寄りのカードでも使い方次第でデッキに入ってくる。少年漫画のような、カードゲームの純粋な奥深さを体現してくれた 1 枚です。
やっぱりこのカードは、いつでも目に入る場所に飾っておきたいですね。
このカードを見るたびに、「どんなカードにも可能性がある」という気持ちを思い出します。
当時は注目されていなかった 1 枚の可能性を信じ抜き、優勝という結果につなげた『ネクロズマたそがれのたてがみ』。サーニーゴ選手のカード観を象徴する 1 枚となっている。
■ 思い出の 4 枚目:頂への雪道


──続いて、『頂への雪道』を選んだ理由を教えてください。
『頂への雪道』も『ネクロズマ たそがれのたてがみ』と同じく、大会で結果を残した思い入れのある 1 枚です。『頂への雪道』は、「World Championships 2022」で準優勝したときのデッキに採用していました。
使用したデッキは『アルセウス』と『そらをとぶピカチュウ』を組み合わせたものです。普通なら主役であるポケモンから選ぶところですが、ぼくが選んだのは、あえて『頂への雪道』でした。
選んだ理由は、その「テキストの強さ」です。
『頂への雪道』は、ポケモンカードのプレイヤーであれば誰もが知る強力なカードで、簡単に言えば、相手の動きを抑制する効果を持っています。
『ネクロズマ たそがれのたてがみ』を採用した『ルカリオ&メルメタル GX』デッキもそうなのですが、ぼくは烈火のごとく攻めるよりも、相手の動きを読んで受け切る防御のテクニックを得意としています。『頂への雪道』は、世界大会で使ったデッキの「防御の象徴」といえる存在でした。
世界大会で使用したデッキのメインアタッカーである『アルセウス』や『そらをとぶピカチュウ』と迷いましたが、ここはカードゲーマーらしく、ちょっとメタ外のカードを選びました。
世界大会準優勝を支えた『頂への雪道』は、サーニーゴ選手の防御重視のプレイスタイルを象徴する 1 枚でもある。
■ 思い出の5枚目:メガダークライ ex


──最後に、『メガダークライ ex』を選んだ理由を教えてください。
この金色に輝く『メガダークライ ex』は、拡張パック『アビスアイ』の目玉カードです。
せっかくなので、最近手に入れたカードの中からも 1 枚選びました。この撮影をしているのは2026 年 6 月下旬なのですが、この『メガダークライ ex』は、2026 年 5 月発売の拡張パック『アビスアイ』で自引きしたカードです。
このカードには YouTuber としてのエピソードがあります。
『アビスアイ』の開封動画を撮影することになったのですが、『アビスアイ』の発売日はちょうどポケモンカードの大会に出場するため、ぼくは南米のペルーにいました。そのため開封はチャンネルの相方にお願いし、遠隔で撮影してもらったんです。その開封で引き当てたのがこのカードでした。
出た瞬間は呆然としましたね。「明日大会なのに、運を使い切ってしまった......」って。
ぼくは YouTube をメインに活動しているので、開封動画で最高の見せ場を作ってくれたこの『メガダークライ ex』を選びました。
幼少期や大会の思い出を振り返る 4 枚とは対照的に、『メガダークライ ex』は現在進行形の活動を象徴する 1 枚。今回の対談も、このカードを見るたびに思い出す出来事の一つになっていくのだろう。
■思い出を飾る

──実際に 5 枚を選んでみて、いかがでしたか?
楽しかったです。記念になるカードの多くはカードファイルに入れているのですが、その中から5 枚を選ぶ時間が一番楽しかったですね。今回選ぶ 5 枚にストーリー性を持たせるのか、それとも純粋に思い入れの強い 5 枚を選ぶのか。その過程を考えるのがすごく面白かったです。
ショップに行ってもついカードをずっと見てしまいますし、とにかくカードが大好きなんだなと改めて思いました。
──他にもカードを出してみようと思いましたか?
それはもう、もちろんです。今回 5 枚を選ぶのは楽しかった反面、とても難しかったです。
これまでぼくはカードとの思い出はファイルを開いたときだけ見返すものだと思っていました。
でもそれだとファイルを開かない限り思い出に触れる機会がないので、それは少し寂しいですよね。
この企画では、「思い出のカードを飾る」という新しい考え方を教えてもらいました。
今回は企画に合わせて、エピソードを伝えやすい 5 枚を選びましたが、次は自分が純粋に飾りたいと思う 5 枚を選んで、実際に飾ってみようと思います。
インタビュアー/ライター:ポケカブック




